精密小型モータで世界トップのニデック(旧・日本電産)、名経営者の稲盛和夫氏が創業した電子部品大手の京セラ、世界的エンタメ企業に成長した任天堂、セラミックコンデンサで世界首位の村田製作所……いずれも日本を代表する大企業だが、本社を「京都」に置いているという共通項がある。実質的な本社機能を東京に移しているわけでもなく、市場では「京都銘柄」という呼称もあるほどだ。
4月には、日銀が今後有望なスタートアップ企業の動向を分析したレビューを発表し、注目エリアとして京都を取り上げた。同レビューでは〈京大発スタートアップを中心に、ライフサイエンス分野や新エネルギー分野などでディープテックを活用したビジネスが成長しつつある〉と言及する。
価格ではなく、技術で勝負
なぜ、京都から次々と世界で戦えるビジネスが生まれるのか。
別掲リストにある主な京都企業の業容を紐解いていくと、長年培ってきた技術を活かして特定の分野で世界シェアトップを占める企業が多いとわかる。
ニデックのブラシレスDCモータや京セラのセラミックパッケージなどは、一般消費者に馴染みはないが、様々な機器で使われる電子部品だ。
世界的な分析・計測機器メーカーである堀場製作所の製品も同様である。
創業者・堀場雅夫氏の長男である堀場厚・会長兼グループCEO(76)は、京都に“オンリーワン”を生み出す企業が多い理由をこう分析した。
「他の誰かが儲かっているから真似しようとする姿勢は、京都弁で言う“けったくそ悪い(かっこ悪い)”ことで、“恥”なんです。それぞれが歴史や伝統を継承しながら、匠の技術で“ほんまもん”を追求する意識が非常に高い。だから世界で認められる製品をつくれる。それが京都ならではの強みだと思います」