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【肩書きと年収を一挙公開】日本企業の「役員報酬トップ200」実名ランキング 全員が2億円超の報酬、1位のセブン&アイ専務執行役員は77億円超

役員だらけのラグビー部

 同業種で多くの企業役員がランクインしたのが「総合商社」だ。三菱商事では“平取”の田中格知取締役(155位)でも3億円超だが、業界トップの報酬は伊藤忠商事・岡藤正広会長(18位)の10億300万円。

 岡藤氏は入社前から商社マンの片鱗を見せていた。経済ジャーナリストの河野圭祐氏が語る。

「東大在学中、キャンパスの近くにあった女子寮の周辺に飲食店やスーパーなどがなく、女子学生が飲み物を買うことができず困っていた。その話を聞きつけた岡藤さんはまだ学生なのにメーカーに掛け合い、女子寮の近くに自動販売機を設置して手数料を得るビジネスをしていたそうです」

 有名企業の経営者や役員には財界でも縦と横の繋がりが強い「ラグビー部出身」が多いと言われるが、“岡藤の後継者”と呼ばれる伊藤忠商事・石井敬太社長(32位)もそのひとり。

 早稲田大学高等学院の2年時に花園に出場。当時のメンバーは東京海上日動火災保険の寺林努元常務、TBSホールディングスの佐々木卓会長、三越伊勢丹の竹内徹副社長、味の素の本山浩常務らが名を連ねていた。

 大和ハウス工業・芳井敬一社長(100位)は大学卒業後、名門・神戸製鋼で実業団選手としてプレーしたラガーマン。引退後に転職した大和ハウスで出世街道を邁進し、最近は札幌ドームの愛称を「大和ハウス プレミストドーム」にするネーミングライツ契約を締結して話題を呼んだ。

「野球」に思い入れがあるのはソフトバンクグループ・榛葉敦副社長(29位)。引き抜きによる外国人役員が多い同社にあって「新卒入社1期生」という“叩き上げ役員”だ。

 静岡県の掛川西高野球部出身で、愛工大名電(愛知)にいた工藤公康からヒットを打ったことがあるという。入社後は「ソフトバンクホークスの社長になりたい」と公言していた。元ソフトバンク社長室長の嶋聡氏が語る。

「東京・汐留に本社があった頃、深夜に社長室フロアでスパンスパンと音が聞こえたので見に行くと、孫さんと榛葉さんが仲良くキャッチボールをしていた。榛葉さんは人の懐に入るのが上手くて、孫さんにもすごく可愛がられていました」

億超え役員の「肩書き」と「年収」ランキング(21~50位)

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「趣味」はサウナ、ゴルフ、レースドライバー、ネクタイ収集…

億超え役員の「肩書き」と「年収」ランキング(51~88位)

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 億超えの経営者・役員ともなると「趣味」にかけるカネも豪快だ。

 LINEヤフー・川邊健太郎社長(98位)はサウナ好きが高じて、千葉県館山市にある自宅を大幅な改築して「マイサウナ」を設けた。目の前は海という絶景のロケーションのなか、仕事の疲れをサウナで癒しているそうだ。

 孫会長やファーストリテイリング・柳井正会長兼社長(94位)など経営者にはゴルフ好きが多いが、岩谷産業・牧野明次会長(103位)の行動力は図抜けている。

「大学時代にゴルフの楽しさを知り、82歳の現在もプロアマ大会に出場するほど。2016年には健康寿命を延ばすためにゴルフは有意義だとして、『ゴルフ場利用税の廃止を求める意見書』をスポーツ庁長官などに提出しました。この意見書にはニトリの似鳥昭雄会長や、日本サッカー協会の川淵三郎キャプテンらが名を連ねました」(全国紙記者)

 トヨタ自動車・早川茂副会長(103位)は、トヨタが開発したオートマティック車のラリーカーのハンドルを自ら握り、レースに出場する。自動車研究家の山本シンヤ氏が語る。

「お客さんが求めていることは何かを深く知るため、創業家の豊田章男会長(9位)が『ジェントルマンドライバー代表としてラリーを通じて開発を担当してほしい』と頼んだことがきっかけでした。それから早川さんは仕事と並行してラリーに没頭。普段は温厚な性格ですが、アクセルを踏むとかなりアグレッシブ(笑)。アツくなりすぎてラリー中に横転したこともあります」

 身だしなみにこだわるのはヒューリック・西浦三郎会長(176位)。

「スーツは企業人の戦闘服と考えて160本のネクタイを所有し、夏場を除く1年間で毎日違うネクタイをつけるよう心がけているそうです」(不動産関係者)

億超え役員の「肩書き」と「年収」ランキング(89~125位)

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高額報酬に伴う「結果」と「責任」

 リクルートホールディングス・出木場久征社長(20位)は9億1700万円もの巨額報酬を稼ぐが、妻は意外な職業だ。

「出木場さんの奥さんは『節約料理研究家』です。安くて美味しい料理がブログで話題になり、レシピ本を出版したこともあります。妻の手料理を食べるため『平日でも週に2~3回は自宅で夕食を摂るようになった』と話していたそうです」(全国紙記者)

 出木場氏に絶大な信頼を寄せられているのが、リクルートホールディングス・瀬名波文野取締役(84位)。41歳で最年少ランクインとなった。

「2018年に35歳でリクルートの執行役員になり世間を騒がせました。取引先の企業の人材戦略にまで入り込み、大企業の社長に『瀬名波が言うならそうするよ』『瀬名波を今すぐ呼んでくれ』と言わせてしまうほどの“オヤジ転がし”。まさに営業の天才です」(大西氏)

 ほかに女性は日立製作所・ロレーナ・デッラ・ジョヴァンナ専務(86位)、日本マクドナルドホールディングス・サラL.カサノバ元会長(102位)と3人だけ。まだ世界水準には達していないと言えそうだ。

 最後に忘れてならないのは莫大な役員報酬の対価として、結果と責任が求められることだ。

「基本的に役員は1年ごとの契約です。外資系企業と同様に成果主義で、業績が良ければ報酬は上がりますが、結果が出なければ解雇されますし、担当する部門で不祥事があった際には矢面に立たされます」(関氏)

 人が羨む報酬は、明日が約束されない無情さと引き換えなのだ。

※週刊ポスト2024年8月30日・9月6日号

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