大所帯の部屋では1食のために6升(約9kg)炊くことも
今年4月、不祥事で閉鎖となった宮城野部屋の親方、力士らが伊勢ヶ濱部屋に転籍となった際は、引っ越しトラックに30kgの米袋が30ほど積み込まれていたのが話題になった。実に900kgもの“備蓄”があったわけで、それだけあれば多少の品薄にも対応できそうだが、“消費”のスピードが凄まじいため、そうもいかないようだ。相撲担当記者が言う。
「40人の大所帯に増えた伊勢ヶ濱部屋では、1食に炊くごはんが3升(約4.5kg)から6升(約9kg)に増加したという。1日2食なので、宮城野部屋から900kgのコメが運び込まれても、単純計算で1か月半ほどでなくなることになる」
伊勢ヶ濱部屋は例外的な大所帯だが、平均的な規模の相撲部屋でもその消費量は凄まじい。協会関係者が言う。
「44ある相撲部屋には平均15人の力士が所属しているが、そうした平均的な規模の部屋だと1回に炊くコメの量は5升(7.5キロ)。昼と夜の2食で1日に15kgになり、1か月で450kgを消費する計算だ。コメの調達ができなければ力士の育成にもかかわる。コメ不足は死活問題です」
一般家庭とは桁違いの消費量となる相撲部屋に、「令和のコメ騒動」はどのような影響を及ぼすのか。二所ノ関一門の部屋の親方が言う。
「普段から“備蓄”として買って倉庫に積んであるのは1か月分くらいまで。コメは生鮮食品の扱いだから、精米した後のコメを長く置いておくと劣化して味が落ちてしまう。保存方法により食べられる期間は変わっていくけど、力士にはうまいコメを沢山食べてもらいたいからね。
令和のコメ騒動がいつまで続くのかわからないが、9月の本場所が国技館(東京)開催というのは不安。大阪、名古屋、福岡での地方場所ならコメはもちろん、野菜や調味料までタニマチが差し入れしてくれる。年1回の開催を大歓迎してくれて、鍋釜さえあればどうにかなる。それが年3回の東京での本場所だとコメの差し入れは期待でできないだろうし……」