画像生成AIの技術が日々進展するなか、「AI美女」を広告に活用する動きも目立ち始めている。8月17日、日本マクドナルドは公式Xアカウント(旧Twitter)で、生成AIを活用して制作した動画をアップロードして、話題になった。AIによって生成された女性がマックフライドポテトのセールを告知する内容だったが、SNS上では「不自然」「不気味」などの声も出るなど物議を醸した。
技術の進歩によって新たな創作活動や表現が可能になる一方で、生成AIには問題点も浮上している。アメリカの大統領選挙にディープフェイク(※動画や画像、音声などを人工的に合成し、元のものとは異なるコンテンツを生成する技術)が悪用されたり、個人がSNSにあげた顔写真が悪用されて偽のポルノ画像や動画が作成されるといった事案も発生している。
AI生成であることを隠してフォロワーを獲得し炎上
そうしたなか、昨今SNS上で議論を呼んでいるのが「AIインフルエンサー」の存在だ。映像制作の会社に勤務する女性・Aさん(34歳)は、AIインフルエンサーの問題点について次のように指摘する。
「AIインフルエンサーとは、実在しないAI生成のバーチャルヒューマンのことです。美男美女の画像を生成し、実在のインフルエンサーと同様にマーケティングに活用したり、SNSのアフィリエイト広告などでマネタイズする動きも出てきました。専用のスマホアプリを利用すれば、専門的な技術を持たずとも簡単にAIインフルエンサーを生成することができます。
最近問題になっているのが、AIであることを隠し“実在する人間”だと主張することの是非についてです。たとえば、直近でもSNSで10万人以上のフォロワーを擁する、男性同士のカップルアカウントにAI生成疑惑が生じ、炎上しました。このアカウントを運営していた女装家の男性は、『実在する女性よりもキレイ』というビジュアルを売りに人気を博していました。日頃から恋人の男性とのラブラブな画像を投稿しており、同性カップルを応援するフォロワーもたくさんいたんです」(Aさん)
ところが、このカップルに対して、SNSでは次第に疑問の声が上がり始めたという。
「ある時期から、画像の違和感に気づくフォロワーが出てきました。AI生成のためなのか人間のパーツにおかしな点が見られたり、画像ごとに歯や耳が違ったりしたんです。本人も、最終的には『自分の画像を利用したAI生成画像』と認めました。このほかにも、海外のアカウントから無断転載した画像が多数あることも発覚しました。
もちろん画像の無断転載は問題ですが、他方で『AI生成であることを偽りフォロワーを獲得する行為は許されるのか?』という点でも、SNSで議論を呼んでいる状況です」(Aさん)