かつての“女子の専門職”に結びつく学部の人気が伸び悩み
1990年代になぜ短大卒の就職が低迷していったか。かつて女子が担当する仕事は事務が中心であったが、その事務職の仕事が単純な手作業から、「コンピューターをどう活用して効率的に処理するかを考える」作業に変化していった。そうなると、短大より四年制卒の女子の方が応用力があり作業に向いていると判断され、四大卒女子の就職が伸びていった。
そして、今、人間がやるべき作業は変化し、女子がやるべき仕事も男子と差がなくなっている。そうなると、採用も男子と同じ条件になってくるわけで、総合職が中心になってくる。
このように、女子が男子同様に総合職で就職するようになって、女子の職業選択の幅が広がると、家政や保育といった「女子向けの専門職養成」の学部学科も魅力が薄くなる。
大手予備校の講師は「なぜ女子大は低迷しているのか」の理由を、こう話す。
「学生が行きたい学部学科が、女子大にはないんですよ」
今回は女子大の危機的な状況について言及した。名門・白百合女子大は偏差値35.0~42.5。ほかの名門女子大も偏差値も志願者も低迷している。しかし一方で、努力を重ねきちんと志願者を集めている女子大もある。次回は女子大の改革を紹介し、その生き残る道を探ろう。
(第2回につづく)
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。【Xアカウント】@sugiyu170