女子大に変化の波が押し寄せている。名門といわれた女子大学でも、定員割れや入学難易度が低下。そんな中、変革を遂げ成功している大学もある。どのような改革を行ったのか。『中学受験 やってはいけない塾選び』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする「女子大の苦境と挑戦」。【第2回。第1回から読む】
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女子大が危機的な状況にある。1990年代、短大が志願者を減らし淘汰されていったが、いま、その波が女子大に来ているといわれる。名門女子大も定員割れをしたり、偏差値を下げたりしている。創設者・津田梅子が新5000円札の顔となった津田塾大学の東京・小平市にある学芸学部は「日東駒専」より下の難易度になっているが、その一方で、都心の千駄ヶ谷に新設された総合政策学部は好調だ。ほかでも改革に成功している女子大もある。
今回は女子大の苦境の原因と、それを打開すべく努力している女子大の改革を見ていこう。
「女子大はなくなってしまうんじゃないか」という不安
まず、なぜ、女子大が不人気か。ある大手予備校の講師は「学生が行きたい学部学科が、女子大にはないんですよ」と話す。どうしてそうなってしまっているのかを見ていこう。
女子大には二種類があった。一つは、文学部などの教養教育をする女子大、そして、家政や保育などの専門職養成系だ。
前者は一般職で就職し、結婚して家庭に入ったり、パートタイマーに切りかえて働くのが前提だったろう。こうした教養は、社会的な地位が高い男性に選ばれる条件のひとつであったし、子供に高い教育を受けさせるにも役立った。
後者の家政や保育の分野は「男性がほぼ入ってこないから長く働ける」のが魅力の職種への道筋だった。