いま、女子大に大きな変化の波が押し寄せている。募集停止をする大学や共学化する大学が続々と出現。そして、名門女子大学といわれた大学でも、定員割れや入学難易度が低下することが目立ってきている。その背景には何があるのか。『中学受験 やってはいけない塾選び』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする「女子大の苦境と挑戦」。【第1回】
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今、女子大が危機的な状況にあるのはご存じだろうか。恵泉女学園大学(東京都多摩市)は2023年に募集を停止し、東京家政学院大学(東京都千代田区)は2025年から男女共学になる。
名門女子大も苦戦を強いられている。たとえば、カトリックの名門、白百合女子大学(東京都調布市)の文学部英語英文科は定員120名に対して、入学者は2022年度が50名、2023年度が55名。
ある大手塾の関係者は「あくまでも私個人の意見」として、こう話す。
「白百合女子大が公開している2024年度の入試結果データを見ると、繰り上げ合格者を出しており、苦境を示しているといえます。中堅大学では定員割れになっても繰り上げ合格を出さない大学もしばしばあります。繰り上げを出すと、学力が足りてない学生も受け入れることになってしまうからです。学生の学力レベルを保つことを優先するわけですが、それができない状況に私には見えます」
ほかのキリスト教系の名門女子大も定員を満たせない状況にある。フェリス女学院大学(神奈川県横浜市)の2024年度入学者は文学部英語英米文学科では定員90名に対して入学者59名。文学部日本語日本文学科は定員90名に対して入学者が68名だった。
ほかにも、清泉女子大学(東京都品川区)や東洋英和女学院大学(東京都港区)、関西の名門、神戸女学院(兵庫県神戸市)など、そうそうたる名門ミッション女子大で定員割れが目立っている。どこも小規模で手厚く質が高い教育を提供している優秀な大学であるにも関わらず、だ。