今年8月17日に新千歳空港で「空港のお店からはさみがなくなった」という理由で、飛行機が欠航・遅延するトラブルが発生した。人生経験豊富な女性セブンの名物ライター、オバ記者こと野原広子さんが、この事件の報道に接して感じたことを綴った。
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「えっ、お店からはさみがなくなったから飛行機が飛ばないって、どういうこと?」
お盆休み、ミシン仕事で布をはさみで裁断していた私は、一瞬、ピンと来なかったんだよね。
事件前日の8月16日(金)は、接近中の台風7号の影響で北海道・新千歳空港から東京方面に向かう空の便が100便以上欠航していたの。そして翌17日(土)の朝、今度は「制限エリア内でトラブルが発生し、保安検査が一時中断しています」というニュースよ。
保安検査とはいわゆるセキュリティーチェック。保安検査を通過した先にある売店からはさみが紛失したんだって。それですでに飛行機に乗り込んでいた乗客まで全員降りてもらい、再度検査になったそう。
「なんでこんなに騒いでるの?」と、たまたま電話で話していた同業のA子に聞くと、「そりゃあ、凶器にもなるはさみを乗客が持ち去って飛行機に乗ったかもしれないのよ。私はすぐ全日空機ハイジャック事件を思い出しちゃった」と語る。25年前、家庭用包丁を手にコックピットに押し入った男が機長を刺殺して操縦桿を握った事件のことだ。
テレビを見ると、空港内は人でごった返している。その日、はさみは発見されず、翌日になって紛失した売店内で見つかった。このトラブルの影響で出発と到着の合計で36便が欠航、201便が遅れたそうな。