今年に入って日経平均4万円超え、史上最高値更新の後に大暴落と、日本株は不安定な値動きを続けている。だが、2023年の年明け、週刊ポスト(2023年1月13・20日号)でいち早く「日経平均4万円」を予言した3人の金融・不動産のエキスパートに改めて見解を聞くと、彼らはすでに「日経平均5万円」の到来を見据えていた──。
8月5日、日経平均は過去最大となる4451円の下げ幅を記録。翌日にはこちらも過去最大となる3217円の上げ幅を見せ、乱高下が続く。パニックに陥る個人投資家も少なくなかったが、投資のプロは「焦りは無用」と説く。
「この大暴落はむしろ株価急上昇への“踏み切り板”となるでしょう」
そう語るのは武者リサーチ代表の武者陵司氏だ。
「暴落で割安になった日本株は一段と魅力を増したと考えています。企業業績が好調の中、高いリターンを期待できる日本株を“持たないリスク”を多くの海外投資家が感じており、今回の暴落が大相場を呼ぶ可能性が十分にあります」(同前)
今回の急落は米景気の減速懸念や日米の金利差縮小が背景にあるとされるが、武者氏は「そうした不安要素は大きく減じた」と指摘する。
「景気減速が心配された米国の7月の失業率4.3%は完全雇用に近く、米市場の株価下落も深刻なものではなかった。様々な指標を見ても米経済のファンダメンタルズは堅調で、今後の米国の利下げは限定的と考えられます。
また、7月末の日銀の拙速な利上げと植田和男・日銀総裁によるタカ派スタンスの記者会見は市場の反発を招きましたが、直後の株価暴落で激しく批判された反省から日銀の追加利上げが遠のいた。このため、日米の金利差縮小は一服し、急激な円高株安もストップすると考えられます」