家計

“令和の米騒動”に拍車をかける「買い物難民」の増加 日本で食料品の購入が困難な「食料品アクセス困難人口」は900万人超

食料品アクセス困難人口の6割は75歳以上

食料品アクセス困難人口の6割は75歳以上

 厚労省は2040年に高齢者の4人に1人以上が認知症(軽度認知障害〈MCI〉を含む)になると推計しており、そもそも買い物に限らず外出そのものが難しくなっている人が増えている。

 年を重ねるほど買い物難民になるリスクが高まることは当然のことではあるが、1人暮らし世帯が多くなったことも難民増加の要因だ。

 3世代同居が一般的だった時代には、大半の高齢者は食料品だけでなく日用品購入を子ども世代に委ねていた。ところが、いまや頼める家族がなく、70代後半や80代になっても自分自身で買い物に出掛けざるを得ない人が増加しているのである。

 日本の高齢化スピードは速い。総務省によれば2023年9月15日現在の80歳以上人口は国民の10人に1人にあたる1259万人だ。2035年には1607万人にまで膨らむ見通しである。

 80代以上ともなれば配偶者を亡くしたという人が少なくないだろう。「人生100年」と言われるほどに平均寿命が延び、昔に比べて単身になってから過ごす年月が長くなった。加えて、若い頃からシングルのまま高齢期を迎える人も増えてきている。

 双方の要因が相まって今後は1人暮らしの高齢者が増え続ける見通しだ。それは同時に買い物難民も増えることを意味している。

『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)

『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、「今後100年で日本人人口が8割減少する」という“不都合な現実”を指摘した上で、人口減少を前提とした社会への作り替えを提言している。

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