配偶者控除──「103万円」の壁
配偶者控除は、夫の合計所得金額が1千万円以下、妻の合計所得金額が48万円以下の場合に使えます。夫の合計所得金額が900万円を超えると、段階的に配偶者控除の額が減り、1千万円超でゼロになります。
「103万円の壁」という言葉を、聞いたことがないですか? この言葉には複数の意味合いが含まれますが、配偶者控除に関連してよく使われます。
給与収入103万円の場合、自動的に給与所得控除55万円を差し引けるので、税金を計算する際の所得は48万円になります。そのため、妻が年収103万円以上に収入を増やすと所得が48万円を超え、配偶者控除を使えなくなってしまうのです。
ただ、「税金が増えるから、絶対に収入を103万円以下に抑えないと」と考えすぎる必要はありません。なぜなら、配偶者控除が使えなくなっても、代わりに「配偶者特別控除」が適用され、すぐに税負担が増えることはないからです。
配偶者特別控除──「150万円」の壁
配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額に応じて控除額が減るしくみです。でも、夫の合計所得が900万円以下で、妻の合計所得が95万円(給与収入に換算すると150万円)以下なら、配偶者控除と配偶者特別控除の節税効果に違いはありません。
つまり、実際に控除額が減り始めるのは、「妻の年収が150万円を超えてから」。この収入を超えると、夫の税金を計算するときに控除額が減るので、夫にかかる税金が増えます。
というわけで、出産にともないパートナーの収入が減ったときは、配偶者控除や配偶者特別控除で節税できる可能性があるのですが、ここで「扶養といえば子ども。子どもには控除はないの?」と疑問に思うかもしれません。
たしかに、配偶者以外の扶養親族がいる人向けに「扶養控除」という控除があるのですが、じつは16歳未満の子どもは対象外。児童手当がもらえるからです。中学卒業までは児童手当をもらえる代わりに扶養控除がなく、高校生になると児童手当がなくなる代わりに扶養控除が使える、というわけです。
そのため、2024年12月支給分から高校生も児童手当をもらえるようになるのですが、これが扶養控除にも影響が出る見込みです。政府は2026年度から高校生を扶養する場合の扶養控除の金額を引き下げる方向で進めています。