人口減少による人手不足や上がらない給料……日本企業が抱える問題について、有名経営者の間で議論が高まっている。日本を代表する起業家はどう考えるのか。楽天グループ・三木谷浩史社長にジャーナリスト・大西康之氏が緊急インタビューした。
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「少数精鋭で仕事するということを覚えないと日本人は滅びるんじゃないですか」──8月下旬、ユニクロを運営するファーストリテイリング・柳井正会長兼社長(75)の日本テレビでの発言が波紋を広げている。これに対して、衣料品通販大手「ZOZO」の創業者・前澤友作氏(48)が自身のSNSに「僕はなんだか逆のように感じます」と投稿。
「日本人らしさが今後の国力の鍵になる気がしていて、それを薄めてしまうような、グローバリズムに迎合して自らその渦に飲み込まれてしまうような考え方には違和感があります」
と主張した。柳井氏の発言は支援する留学生たちが「日本を魅力的な働き先だと考えていない」ことに警鐘を鳴らしたものだが、同じく世界を舞台に活躍するこの人はどう考えるか。楽天グループ・三木谷社長に聞いた。
──「日本人は滅びる」という柳井さんの発言が大きな反響を呼んでいます。三木谷さんは代表理事を務める新経済連盟などを通じて、日本の競争力について様々な発言、提言をされていますが、今回の論争をどう捉えていますか。
「柳井さんの発言の真意は存じ上げません。ただ日本に元気がない、というのは事実でしょう。私も驚いたのですが、Gallup(ギャラップ、米世論調査会社)の2023年の調査で、主要123か国で『Engaged employee(熱意のある社員)の割合』を調べたところ、日本は5%で123位。最下位でした。
この調査は毎年実施しているもので、従業員の仕事や職場への関与と熱意が反映されています。日本の5%はものすごく低い。首位の米国は34%です。GDPで言えば日本は米国、中国、ドイツに次ぐ世界4位ですが、この調査を見ると、コスタリカ、アイスランドといった経済小国が25%を超えています。やる気満々で経済大国を追いかけてきているわけです」