10年住めば住宅設備も劣化
同じ賃貸物件に10年以上住んでいると、住宅設備などハード面が劣化してくるという問題がある。自営業のBさん(40代男性)は、現在住んでいる都内のファミリー向けマンションに引っ越してから、すでに12年が経過している。
「立地の割には相場よりも家賃が安くて広いということで引っ越したのが、2012年。当時でまだ築5年くらいで、意外と新しかったのを覚えています。立地もそこそこ良くて、最初から長く住むつもりでいました」(Bさん・以下同)
しかし、引っ越してから10年ほど経った頃から、徐々に住宅設備の劣化を感じるようになった。
「住み始めて10年ほど経ったとき、最初にガタがきたのがお風呂の換気扇でした。ちょっと音がうるさくなってきたなと思い始めてから数か月で、まったく動かなくなってしまったんです。耐用年数は10年、その時点で15年は使っていたので、壊れても仕方ないのかなと思い、大家さんに連絡して、新しいものに交換してもらいました」
さらに寝室のエアコンが水漏れするようになった。
「暖房を使用しているときは問題ないのですが、冷房を使っているとたまに水が漏れてくるんです。毎回漏れるわけではないので、騙し騙し使っているんですが、このエアコンもすでに15年前のもの。そろそろ寿命なのかなという感じがします。賃貸物件だし、完全に故障したわけではないので、交換するのも面倒くさい。幸い、寝室は夜寝るときだけしか使っておらず、どうにかこうにか扇風機を回してしのいでいます」
12年も同じ物件に住み続けた結果、いくつかの住みにくさを感じ始めたBさんは、ついに引っ越しを考えたが、いまよりも好条件の物件は、まったく見つからなかったという。
「もともと家賃が相場よりも安かったということもありますし、最近の家賃の上昇もあって、近所の同じような広さの物件を調べてみると、ここよりも5万~6万円も家賃が高いんです。私の収入はそんなに上がっていないのに、家賃を5万円も上げることなんてできません。
とりあえずいまの物件に住み続けることにしました。できるだけ長く快適に過ごせるように、片付けや掃除に気を遣うようになりました」
ある程度気軽に引っ越せるのが賃貸のメリットだったわけだが、このところの家賃の上昇でそうもいかなくなってしまった現実がある。(了)