おしゃれな部屋に住みたい人にとって、憧れの存在ともいえる「デザイナーズ物件」。ありふれた間取りではなく、個性的でデザイン性の高い部屋に惹かれる人は少なくない。だが、その独特な空間ゆえに評価が分かれてしまうこともあるようだ。設計者のこだわりを感じられる間取りに満足する人もいれば、住み心地の悪さを感じてしまい後悔する人もいる。デザイン性を重視するあまり、生活には不便だった──。そんなデザイナーズ物件にまつわる失敗談を紹介しよう。
トイレや風呂など水回りにクセがある
就職を機に上京してから、デザイナーズ物件に憧れたというのは、広告代理店に勤務する30代男性・Aさんだ。職場の先輩が住んでいたこともあり、おしゃれなイメージでいっぱいだったと当時を振り返る。
「おしゃれな雑誌の世界観が、そのままそこにあるような感じ。職場の先輩でそういった物件に住んでいる人がいて、よく自宅に招かれて家飲みしたんですが、窓が多くて天井も高い、開放感ある空間。小型のワインセラーも置いてあって、“THE都会”って感じでかっこよくてしびれました」(Aさん)
Aさん自身も住んでみたいという気持ちが強くなり、念願のデザイナーズ物件に引っ越した。間取りは1Kだが、築年数が浅く、スタイリッシュな内装に一目惚れだったというが、待ち受けていたのは生活面での苦労だった。
「天井が高いのですが、そうなると自動的に窓のサイズも大きくなる。より開放的な空間を演出するためなのか、そもそも窓の数も多い。カーテンのサイズが既製品になく、オーダー品を頼むことになってかなりの出費でした。最初は、以前住んでいたマンションのカーテンをつけてみたのですが、丈が足りなくてダサいし、カーテンの数も足りないし、全部買い換えです。しかも、部屋の照明はスポットライトのみ。スポットライトが5つ6つ、レールになっている形式ですが、部屋の場所によっては若干暗い気がするので、フロアランプか何かを買うべきか悩んでいます」(Aさん)