投資

【森永卓郎氏インタビュー】“投資撤退宣言”で非難を浴びるも「バブル崩壊の最後にババを引くのは“投資依存症”の人たち」と警鐘 「日経平均は3000円になる」との予測も

「中長期的には上がる」の罠

 森永氏は、今年7月26日までの10日間(8営業日)で日経平均が3608円も下落した際、ラジオ番組や連載コラムなどを通じて「バブル崩壊に向かう可能性が高いので、今すぐ投資から撤退するべきだ」と注意喚起した。

 実際、日経平均は8月5日に史上最大の大暴落を記録。しかし、翌6日には一転して史上最大の値上がりとなった。

「ギャンブルで損を被った時に最もやってはいけないことは、損失を取り返そうともっと大きな資金を注ぎ込んでしまうこと。ところが8月5日の大暴落で損をした多くの人が、この禁じ手をやってしまった。8月6日の史上最大の株価急回復は、図らずも投資依存症が日本中に蔓延していることを証明したのです」

 乱高下相場のなかで森永氏の「投資撤退提言」はネットを中心に激しい非難を浴びた。“株価は中長期的に必ず上がっていくもの。森永は経済を全くわかっていない妄想家”というのが大方の意見だったという。

 たしかに長期の折れ線グラフではニューヨークダウも日経平均も上がっているように見える。それゆえ、老後資金を株式市場に投じる人が増えているわけだが、その理解が根本的に間違っていると森永氏は指摘する。

「資本主義の宿命と言ってもよいバブルが生じるからです。この200年間、世界は大きなバブルを70回以上経験してきた。資本主義の歴史は、バブルの発生と崩壊の繰り返しです。そして、バブルが弾けると大衆は軒並み破産状態になり、得するのはバブルの期間に手数料をとり続けた運用会社などの“胴元”だけ。

 投資の本質も勝つ人がいればその分、負ける人がいるゼロサムゲームで、他のギャンブルと同じ。うまくいくかは“運次第”。老後資金をNISAで運用する人は、老後の生活をかけて競馬や競輪をやっているのと同じです。

 株式市場は鉄火場と化しているのに政府は『貯蓄から投資へ』の看板を下ろさず、投資依存症を拡散する政策を続けている。誰かが止めないと日本中に破産者が溢れてしまいます」

 森永氏が投資のリスクについて警鐘を鳴らすのには理由がある。

「がんの終末期を迎えた私には、予測を当てて名声を得ようといった考えは一切ありません。近い将来、財産の大部分を失い、暗い老後を過ごさざるをえなくなる人を一人でも多く救うこと。それが私に残された短い人生の役割だと強く思っているからです」

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