日経平均の乱高下により、新NISAを始めた投資初心者にも動揺が広がっている。投資で成功している「億り人」たちはこの危機にどう対応したのか。
下げ幅4451円──。8月5日、米景気の減速懸念や日銀の金利政策などを背景に1987年のブラックマンデーを超える過去最大の下げ幅を記録した日経平均だが、翌日には過去最大である3217円の上げ幅を見せ、その後も先行きが見通せない乱高下が続いている。
1日で1.4億円取り戻した
「株式市場では、10年から20年に1度、必ず大暴落が起こるものです」
そう語るのは、88歳にして現役トレーダーとして活動し、20億円超の総資産を築いたことで知られる藤本茂氏だ。19歳で投資を始め、1987年のブラックマンデー、1990年代初頭のバブル崩壊を経験した藤本氏は、大暴落の「予兆」を掴んでいたと語る。
「大幅な株高に人々がはしゃいでいる時こそ大暴落は起きやすい。今年に入って相場全体が著しく上昇して人々が浮かれる姿を目の当たりにして、“そろそろ暴落するのでは”と考えていましたが、具体的にいつ起きるかまでは予想できなかった」
8月2日に日経平均が2216円下げ、同5日に4451円下げた時も、藤本氏は普段通りのデイトレードを続けた。その結果、1日で2億6000万円もの含み損が出たという。
「さすがに落胆しましたが、バブル絶頂期に10億円あった資産をバブル崩壊後に2億円まで減らした経験が私の強みです。2億6000万円の含み損についても、これまで積み上げた総資産20億円のわずか1割強ではないかと考えて、焦りはありませんでした」(藤本氏)
経験を武器に、乱高下の渦中においても「平常運転」を続けている。
「市場から『お前にトレードを続ける勇気はあるのか』と試されているような気がして、8月6日以降も私の投資法の鉄則である“下がったら買う、上がったら売る”という、短期売買を繰り返して利益を出すデイトレードを続けています。おかげで日経平均が急回復した6日だけで1億4000万円を取り戻し、その後も損失を徐々に回復しています」(同前)