企業が一定の株を持つ株主に対して年に1~2度、自社製品や金券を贈る「株主優待」は日本に特有の制度だとされる。各企業の優待品を楽しみに投資をする個人投資家も少なくない。株式投資で8億円の資産を築いた“億り人”のかんちさんは、高配当株投資の達人として知られるが、投資を始めた頃に重視していたのは「優待株」なのだという。
かんちさんはもともと三重県の消防士だったが、49歳の時に株式投資で資産2億円を築いたことで早期退職。今では年間2000万円を超える配当金で生活費を賄っている。投資歴40年以上で、保有銘柄は600超という“超分散投資”を実践するかんちさんのポートフォリオは、金額ベースで「高配当株5:優待株3:成長株2」の割合で構成されているという。
あまり給料が高くなかったので、「節約につながる優待株」を選んだ
ただ、かんちさんは「投資を始めて間もない頃は、『優待株』の割合が多かったですね」と振り返る。
「投資をしていくにあたり、あまり給料が高いほうではなかった。地方公務員の若い頃の給料は安いですからね。給料を投資に注ぎ込もうとすると、まずは節約しなければいけなかった。そうした時に、大好きな吉野家やマクドナルドが優待で食べられれば、お金を払わずに済むと考えました。外食産業の株を買えば買うほど、結果として節約につながると確信した。それがスタートになりましたね。昔から吉野家やマクドナルドの優待は有名でしたから」
外食産業の優待の食事割引券などは、身近な生活のなかでその価値を実感できるのが大きい。もともと外食チェーンなどでお金を使っていた人であれば、優待で賄える分をそのまま投資に回していけるという理屈だ。