まずは「賃貸暮らし」から
住む場所を選ぶ際も万全の注意を払いたい。移住先の建物は建て替えやリフォームができるが、「立地」は後から変えようがないからだ。
中島氏によると、失敗しない地方移住には以下の5つのポイントがある。「水害や地震に強い土地」「資産価値が下がりにくい場所」「治安がよい地域」「徒歩圏内に駅やバス停などがある、交通の便がよい場所」「徒歩圏内にスーパーや病院が多い地域」の5つだという。
「特に『地震や水害に強い土地』は台風や地震の不安が高まる昨今、最重要ポイントです。なかでも山林を切り開いて盛り土をした造成地は、地盤が緩く自然災害に弱い可能性があります。過去に土砂崩れや水害などが起きていないか、自治体のハザードマップで調べて、役所にも問い合わせることを推奨します」(中島氏)
移住リスクを避けるには、「お試し暮らし」が役に立つと、中島氏が指摘する。
「日々の暮らしに直結する地域のルールや雰囲気は、実際にその場所に住んでみないとわかりません。そこで、いきなり家を買うのではなく、賃貸住宅でのお試し暮らしもお勧めです。コミュニティの習慣や住人の様子を知り、自治会やゴミ出しルールなど暮らしに直結する情報を確認する。地域のリアルな事情を把握することは、その後の移住生活を快適にするために最も重要です」
70代の地方移住は「住めば都」とはならないケースを念頭に置いて、慎重に決断したい。
※週刊ポスト2024年10月4日号