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《高齢の親世代の住まい問題》「子供に呼び寄せられて同居・近居」はトラブルのもと 慣れない土地でストレス、生活リズムの不一致、孫疲れのパターンも

親子の同居・近居で思わぬトラブルに発展するケースも(イメージ)

親子の同居・近居で思わぬトラブルに発展するケースも(イメージ)

 人生後半戦の「住まい」の問題にどう備えるか。離れて暮らしていた息子や娘から「高齢で不安だから、一緒に住まないか」と提案されるケースは少なくない。

 だが、久しぶりの「親子同居」はトラブルの種となりやすい。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏が語る。

「自分はあまり気が乗らないけど、子供に誘われたからと同居に踏み切るケースが多いように見受けられます。しかし実際には、70代で住み慣れた実家を出て、息子の家で同居を始めても生活リズムの違いに戸惑いがちです。息子夫婦は日中仕事で家にいないため孤独感を抱えることが多々あります。新たな土地で近所付き合いもできず、ふさぎ込んでしまう人もいました」

 子にとっても負担は大きい。母が亡くなり、地方の実家で暮らす70代の父を首都圏の自宅に呼び寄せた50代の男性Aさんが肩を落とす。

「父がひとりで暮らすのがかわいそうで呼びましたが、住み慣れない土地での暮らしはストレスだったようで徐々に言葉数が少なくなって家に引きこもり、ついには認知症を発症。私も妻も介護で疲れ果て、最終的に施設に入ってもらいました。父のためを思って家に呼んだことで、家族全員が不幸になってしまった」

 同居を始める際に実家を売却しているかどうかも分岐点となる。前出・太田氏が指摘する。

「実家を売却していたら帰る家がなくなりますが、売却していない場合は、子供との同居に馴染めず家に戻るケースも結構あります。同居の際は万一に備え、帰る家を残しておいたほうがいい」

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