逆に、近くに住むがゆえに親の孤独が深まるパターンもある。
「子供に呼ばれて近居を始めたのに、全然接してくれないと嘆く親世代も少なくありません。子としては、近くにいるので何かあればすぐ行けると安心して、親の住まいから足が遠ざかるようです。親は子がしょっちゅう顔を出してくれると期待していたぶん失望も大きく、実家で暮らしていた時より寂しさが増してしまいます」(太田氏)
離れていると心配だが、同居や近居でも一筋縄ではいかないのが人の心。太田氏は「まずはその現実を認めることから始めたい」と指摘する。
「親子とはいえ、長年別々に暮らしてきた大人が同居や近居を始めると、価値観や生活リズムの違いから様々なストレスが溜まります。少なくとも同居や近居をすればすべての問題が解決すると考えるのは間違いです」
老齢の親は様々なリスクを想定し、お互いの望みを確認してから、子供との同居や近居を始めたほうがよさそうだ。
※週刊ポスト2024年10月4日号