人生後半戦の「住まい」の問題はややこしい。仕事や子育て、実家との距離感といった制約に変化が生まれる一方、自らが「最期をどこで迎えるか」という問題に直面することになる。
スタッフの定着率は重要なポイント
北関東に住む80代の男性Aさんは、数年前に傘寿のお祝いをした頃までは元気で、夫婦2人暮らしを楽しんでいたが、2年前に妻が亡くなると一気に体力の衰えを感じるようになったと語る。
「今思えば、70代の後半から、色々と生活に支障が出始めていました。妻の生前は、家のことはすべて任せっぱなしで、いざ亡くなったら買い物や掃除、洗濯などすべて自分でやらなければならない。家事が思った以上に負担で、足腰も悪くなりましてね……。子供と相談して、老人ホームに入ることを決めたんです」
特別養護老人ホーム(特養)は順番待ちで急には入れない。そこで比較的評判のいいグループホームに入居を決めた。
「最初はよかったんですけど、スタッフの出入りが激しいことに気付きましてね。私の場合、右膝が弱くて転倒しやすいのですが、新人のスタッフはそのあたりの情報共有ができておらず、重点的にケアしてくれない。案の定、廊下で転んでしまい、大腿骨頸部骨折で入院することになってしまった」(Aさん)
介護施設は複数の種類があり、それぞれ注意点が異なるという。
Aさんが入居した認知症グループホームという施設は、入居者はだいたい18人から多くて27人だった。ここで注意したいのは、小所帯の施設だから手厚いケアが受けられるとは限らない点だ。