普通のバイト感覚で夜職を選ぶ大学生たち
都内の大学で勤務する女性教員のBさん(30代)も、Aさんと同様の懸念を持っていると話す。というのも、ここ最近、学生から「夜職をしている」という発言を聞く機会が増えてきたからだ。
「ここ数年で元セクシー女優や現役キャバクラ嬢のSNS露出が非常に増えたと思います。実際に、彼女たちに憧れていたり、“美のロールモデル”にしたりする女子学生も多いんですよ。なかにはスマホの後ろに、キャバ嬢の写真を入れている子もいました。ネットへの露出が増えると、インフルエンサーやYouTuberと同じような扱いで、容姿端麗な彼女たちに憧れの感情を持ちやすいのだと思います。
ファッションイベントのランウェイもそうですが、『堂々と人に語れる職業』という印象が強まっているのかもしれません。実際に学生のなかにはキャバクラやガールズバーで働いている子たちも珍しくありません。昔はそれをあまり周囲に話さず、隠れて働いていた印象ですが、今は教員にも『今日ゼミの後にガルバ(ガールズバー)なんで』とか、『憧れの○○ちゃんが働いていた店舗の体験入店してきたんですよ』などと報告してくる学生もいます」(Bさん)
「憧れのランウェイが変わってしまった…」
かつて『CanCam』などの赤文字系雑誌を愛読し、いわゆるコンサバ系ファッションに憧れていたアラフォー世代にも、「ランウェイ」のあり方が変化したことを嘆いている人がいる。都内のネイルサロンで勤務する女性・Cさん(39歳)もその一人だ。
「私は、2000年代半ばの、“優ちゃん(山田優)、もえちゃん(押切もえ)、エビちゃん(蛯原友里)”の3大人気トップモデル全盛期を経験している世代です。あの頃は、本当にモデルさんたちが輝いていて、関西コレクションや東京ガールズコレクションなど、彼女たちが歩くランウェイは特別な場所だったんですよ。
今自分もネイルサロンで働いているので、10代から20代くらいのお客様を接客する機会も増えていますが、現役のモデルさんよりもインフルエンサーさんやキャバ嬢さんたちのインスタグラムを開いて、そのネイルを見せてくる方が多いですね。最近驚いたのは、10代の女の子が『某セクシー女優さんに憧れて真似っこしたんです』と美容整形した話をされていたこと。良い意味では夜職への偏見がなくなってきたのかもしれませんが、職業選択のハードルが下がりすぎることも問題かな、と思います」(Cさん)
いまでは人気YouTuberやインフルエンサーと同じような舞台に立ち、SNSでも積極的に発信をする“夜職”界隈の女性たち。子育て中の親やアラフォー世代にとっては、少々複雑な思いもあるのかもしれない。