「あのコンビニはいつの間になくなってしまったのか……」。街を彩った様々なコンビニチェーンも今や「セブン-イレブン」「ローソン」「ファミリーマート」の大手3社ばかりが目立つようになっている。だが、なくなったコンビニに様々な思い出がある人も少なくないのではないか。もともとはコーンポタージュ缶のコレクターで、全国を回るうちにローカルコンビニを2000店舗以上訪れるほどのマニアになった加藤弘倫氏の新刊『全国ローカルコンビニグルメ図鑑』(小学館クリエイティブ)をもとに、かつて存在した懐かしのコンビニチェーンの歴史を振り返ってみよう。
am/pm
誕生は1978年。もともとアメリカの石油会社発のコンビニで、日本には共同石油の子会社として1989年に上陸した。特定の地域に集中して出店する「ドミナント戦略」により、中国・四国には店舗が存在していない。フードロスに対する冷凍弁当の販売や、自動販売機による無人サービスを展開するなど、時代を先駆けた取り組みが特徴的だった。2011年にファミリーマートに完全統合され消滅。
●画期的だった冷凍弁当「とれたてキッチン」
am/pmのレジ横にあった冷凍弁当を提供するシステム。オーダーカードを持っていくと店員がレンジで温め、アツアツを渡してくれる。カレーやパスタのほか、グラタンなどもあったのが印象的だった。
コミュニティ・ストア
国分グローサーズチェーンが展開していたコンビニ。商品供給や店舗設備の貸与を目的とした小規模スタイルの店舗もあった。ロイヤリティは安価な月額定額制で、24時間営業を強制していなかったことから加盟店も多かったが、新型コロナウイルス感染症の拡大などによる経営環境の悪化を理由に2022年に解散している。
●提携コンビニだった「K-SHOP」と「コミストキッチン」
2011年には京王ストアと共同出店による駅売店として「K-SHOP with コミュニティ・ストア」を、また2016年には厨房設備で作るファストフードや弁当が特徴の「コミストキッチン」を開店させるなど、新業態へも積極的にチャレンジしていた。このほかに弁当主体の「デリカコンビ117」というお店もあった。