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《豪雨による東京の地下鉄への被害をシミュレーション》荒川決壊で危惧される都営大江戸線の「全駅水没」、銀座や丸の内では「噴出洪水」も

地下鉄から上昇した水があふれかえる「噴出洪水」

 都心の繁華街である銀座や丸の内では、駅構内から地上の出入り口に向け、地下鉄から上昇した水があふれかえる「噴出洪水」が予想される。

「荒川が決壊した場合、赤羽や町屋あたりから地下鉄に流れ込んだ水はトンネルの深い部分からたまっていきます。荒川決壊から10時間後には路線内で満タンになった水が噴出して、銀座や丸の内などで噴出洪水が起きると考えられます」

 銀座・丸の内エリアを走る銀座線や丸ノ内線には別のリスクも。両線はレール近くを高圧電流が走る「第三軌条方式」を採用しており、浸水した線路にむやみに立ち入れば感電死する可能性がある。

 防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さんは丸ノ内線の御茶ノ水駅を危険視する。

「御茶ノ水駅周辺では、神田川を渡るところで車両が一時的に地上の橋を走行します。治水対策を進めているとはいえ、トンネルが口を開けたような状態で、想定以上の雨量になると神田川が氾濫し、トンネルの口から大量の水が丸ノ内線に入り込む可能性がある」

 和田さんは「最大の危険ポイントは、川や海が近い場所です」と語る。

「豪雨で一級河川が氾濫したり台風による高潮で海面が上昇したりすると、駅構内が浸水するリスクが高くなる。特に東西線や有楽町線のように海抜が低く、川や海の近くを走る路線には警戒が必要です」(和田さん)

 河川氾濫に対して、元東京メトロ社員で鉄道ライターの枝久保達也さんは、長期的な影響を懸念する。

「地下鉄はトンネル構造になっているため線路を通じて広範囲が浸水すると、運行用の設備が故障して長期的に地下鉄が利用できなくなるかもしれません。地域住民の足を担う地下鉄が動かないと交通手段がなく、都市機能がマヒするリスクがあります」

 坂の下など、周囲よりも出入り口が低い場所にある駅にも気をつけたい。

「8月のゲリラ豪雨で水没した市ケ谷駅は谷の地形で、周囲より地面が低いので雨水が集中して流れ込みました。豪雨時は駅周辺の洪水ハザードマップを確認した方がいい」(枝久保さん)

※女性セブン2024年10月10日号

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