東日本大震災から3月11日で12年。“あの日”のことを思い出し、「防災」の必要性を再認識する人は多いだろう。とはいえ、「またの機会に」と先延ばしにしてしまう人も少なくない。その理由のひとつが「お金がかかる」というもの。だが、国際災害レスキューナースの辻直美さんによれば「必要以上にお金をかけずに防災はできる」という。そのポイントを教えてもらった。【前後編の前編。後編につづく】
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防災対策は一度に完璧にやろうと思うと大変です。また、それなりにお金もかかります。それで「やっぱり、めんどくさ~い!」となって、まるで手つかずのまま終わってしまいがちです。そうならないために大切なのは、優先順位をつけることです。
防災対策をする余裕が時間的にも経済的にもない人でも、「これは抑えておいたほうがいい」という5つの備えがあります。
それは、「トイレ」「水」「落下対策」「光」「モバイルバッテリー」。どれも、生きることにかかわり、避難所でも苦労しがちなものです。「何から手をつけていいのかわからない」のであれば、この順番で備えていくことをおすすめします。
まずは、誰もが必ず必要となる「トイレ」と「水」の備えについて解説します。
災害トイレの作り方
地震の影響で停電や断水になるとトイレを使うことができなくなります。地震直後は排水管や下水管が破裂している可能性もあるので、汲み置きの水があったとしてもすぐに流すのはNG。でも、生きている限り、排泄を止めることはできません。災害トイレは用意しておく必要があります。
夫婦と子ども(中学生以上)の3人家族が備えるべき防災トイレは105回分(7日分/『東京備蓄ナビ』より)。防災トイレのお値段はというと、タイプによりますが100回分で6000円から1万円といったところで、なかなかのコストがかかります。