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「想定外だった?」なぜ専門家の予測は間違えるのか 市場が安定している時は概ね正解だが、大きな潮目の変化に太刀打ちできない理由

「専門家」の予測は間違うことも少なくない(イメージ)

「専門家」の予測は間違うことも少なくない(イメージ)

「上がると思って買った株が下がってしまった。専門家の意見を参考にしたのに……」、そんな経験をした投資家も少なくないだろう。なぜ専門家の多くが、不可逆的な大きな変化を正しく予測することができないのか。不動産コンサルタント・長嶋修氏の新刊『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)から、「なぜ、専門家の予測は間違うことが多いのか」について解説する。

専門家の予測は「大多数の意見」の過ぎない

「世論」というか「世の中の風潮」というのは、往々にして間違えるものです。それはなぜか。その正体が「マス」だからです。「大多数の意見」というのはしばしば大外しするのです。

 それでは「大多数の意見」とは、具体的にどのように創られるのでしょうか。ひとつには「専門家のワナ」があります。「専門家」というものは往々にして「肝心な時に間違える」ものです。

 例えば専門家が株価の予想をする場合には、これまでの市場の流れを踏まえるのはもちろん、それと同等かそれ以上に「他の専門家はどう考えているか」が大事であったりします。

 万が一でも自分が見落としや勘違いをし、的外れなことを言って他の専門家に笑われたくないからです。上手に空気を読んだうえで、専門家としておかしくない、穏当な発言をしたいのです。それが各業界・界隈で生きていく知恵とも言えるでしょう。

 あるいは所属している組織の意向もあります。実際、2024年早々に日経平均株価が4万円を超えると予想した専門家は何人、何パーセントいたでしょうか? 少なくとも私が知る限りほぼ皆無だったと思います。

 年末年始に発行された経済系の週刊誌に掲載された「2024年株価大予測!」のような特集を読み返してみてください。株式市場の専門家のコンセンサスはだいたい3万円前半~中盤でした。ところがその直後に日経平均は4万円を突破しています。

 そうした記事を参考にして、多くの読者は投資の可否や銘柄選択をするわけです。もちろんそのような行動様式は、市場が安定して定常状態にある時、つまり「一定のレンジで上下動している」「安定して上昇基調にある」「長らく下降局面にある」などの際には、文字通り「穏当な意見」であり、おおむね正解と言えます。1990年バブル崩壊以降は長いデフレが続きましたので、その前提で考えておけば大きく外れはしませんでした。

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