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「想定外だった?」なぜ専門家の予測は間違えるのか 市場が安定している時は概ね正解だが、大きな潮目の変化に太刀打ちできない理由

不動産コンサルタント・長嶋修さん

不動産コンサルタント・長嶋修さん

本来、想定外というものはあってはならない

 しかし近年で言うと、「2000年ITバブル崩壊後の資産価格上昇」「2008年リーマン・ショック前のプチバブルとその崩壊」「2012年の民主党から自民党への政権交代によるアベノミクスと、翌年の黒田バズーカによる株高、不動産高」「2020年以降のコロナ禍とその後のゴールドや仮想通貨、絵画や高級車・高級ワインなども含む資産全面高」など大きな潮目の変化は、ほとんどの専門家が予想すらできなかったはずです。

 昨今のように、不可逆性を帯びた大変化、歴史的な大転換の時代にあっては、従来型の定型フォーマットに乗った思考・意見は全く役に立たないどころか、大外しをするといった弊害をもたらします。それで「想定外だ」といったワードが連発されるわけです。

 本来、想定外というものはあってはならないことで、たとえ天災地変であっても、具体的な日付や場所は想定できないながらも、その可能性は日ごろから念頭に置いておくべきであるはずです。

 加えて各業界・各分野の専門家の多くは「タコ壺化」しています。例えば株式市場について考える前提として、今や株や金融の知識だけでは到底太刀打ちできるものではありません。

 不動産市場について予測する時、不動産や建築・都市計画、経済・金融程度の範囲をカバーするだけでは、もう全く立ちゆかなくなっているのです。もちろんどの業界にも、数は少ないものの慧眼をお持ちの、本当の意味でのプロがいらっしゃることを、私は知っています。

 いずれにしても、2020年以降のコロナ禍のように「想定外」の事態が次々と起きるであろう未来においては、いわゆるカッコ付きの専門家は、今後も予想を外し、間違い続けるでしょう。

※長嶋修・著『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)より、一部抜粋して再構成

【プロフィール】
長嶋修(ながしま・おさむ)/1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。国交省・経産省の様々な委員を歴任。YouTubeチャンネル『長嶋修の日本と世界の未来を読む』では不動産だけではなく、国内外の政治、経済、金融、歴史などについても解説。広範な知識と深い洞察に基づいた的確な見立てが注目を集めている。マスコミ掲載やテレビ出演、講演等実績多数。著作に『不動産格差』(日経新聞出版)、『バブル再び~日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)など。最新刊は『グレートリセット後の世界をどう生きるか~激変する金融、不動産市場』(小学館新書)。

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