こうして振り返ってみると2020年以降、世界は大きく変化し、局面が全く変わってしまったように見えます。何やらきな臭い、不穏な事件や事象が頻発し、一方で株価はもちろん、不動産もゴールドも仮想通貨もそろって過去最高値を更新するなど、ありとあらゆる資産が全面高の様相。絵画や高級ワイン、高級車なども人気があります。
まあこれは資産価格が高くなったというよりは「円を含むマネー(通貨)の価値が低下した」ととらえた方がよいでしょう。つまりリーマン・ショックに加え、コロナ禍で日米欧共にマネー供給を爆発的に増やした結果です。
したがって必然的に先進各国は現在、インフレ対策に追われています。日本のインフレは他国に比して今のところまだかわいいものですが、もはやこの流れは不可逆であり、1990年のバブル崩壊後のデフレ基調に慣れ切ったアタマと行動様式をガラッと入れ替える必要があります。
デフレ時は、時間の経過とともにモノやサービスの価値が下がる、つまり通貨の価値が相対的に増すため「投資など行わず、何もしないこと。現金を保有していること」が最高の打ち手でした。しかしインフレ時代は全く逆。時間の経過とともに現金価値は目減りする一方です。
他にも、これまで起きてきた事象を挙げればきりがないのですが、こうした一連の動きは、個別にバラバラに起きているのではなく、全てつながって、相互に連関しあって動いているように私には見えます。そしてこの時代の大きな潮流は、数年や数十年どころではなく、千年単位の、人類にとって非常に大きな、歴史的な転換点にあるように私には思えるのです。
※長嶋修・著『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)より、一部抜粋して再構成
【プロフィール】
長嶋修(ながしま・おさむ)/1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。国交省・経産省の様々な委員を歴任。YouTubeチャンネル『長嶋修の日本と世界の未来を読む』では不動産だけではなく、国内外の政治、経済、金融、歴史などについても解説。広範な知識と深い洞察に基づいた的確な見立てが注目を集めている。マスコミ掲載やテレビ出演、講演等実績多数。著作に『不動産格差』(日経新聞出版)、『バブル再び~日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)など。最新刊は『グレートリセット後の世界をどう生きるか~激変する金融、不動産市場』(小学館新書)。