投資

基軸通貨としての信認が揺らぐ「ドル」の現在地 近く訪れる「崩壊」か「新たなシステム構築」かの未来

 その間日本はずっと「マイナス金利」政策を続けたため、日米金利差がドンドン開きます。こうなると「円キャリートレード」が発生しがちです。

「円キャリートレード」とはカンタンに言えば「円で資金調達したマネーをドルに換えて資産運用や事業投資を行うこと」を指しますが、これは何も外国人投資家のみならず、国内企業も同様の資産運用を行っているどころか、事業投資にも充てています。

 これは、利益を追求する事業会社としてはある意味当然の行動とも言えます。「低金利で資金調達し、高金利で運用する」のは儲けの鉄則にほかならないからです。

 ということは、実は次のようなことが言えるのではないでしょうか。金利差をつけることで円が売られ、ドルが買われているわけですから、この構図は大きく見ると「ドルを、円が支えてあげている構図」にほかなりません。グローバルに見ると「低利の円とスイスフランがドルを支え、世界経済を支えている」と言っても差し支えないと思います。

 このスタイルは到底持続可能ではありませんので、どこかの段階で基軸通貨のドルが崩壊するか、崩壊させたくないのなら何らかのドラスティックな方策を打ち出すしかないでしょう。その時期はもうそう遠くなく、本書執筆時点では2026年あたりと想定しておきたいと思います。

※長嶋修・著『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)より、一部抜粋して再構成

【プロフィール】
長嶋修(ながしま・おさむ)/1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。国交省・経産省の様々な委員を歴任。YouTubeチャンネル『長嶋修の日本と世界の未来を読む』では不動産だけではなく、国内外の政治、経済、金融、歴史などについても解説。広範な知識と深い洞察に基づいた的確な見立てが注目を集めている。マスコミ掲載やテレビ出演、講演等実績多数。著作に『不動産格差』(日経新聞出版)、『バブル再び~日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)など。最新刊は『グレートリセット後の世界をどう生きるか~激変する金融、不動産市場』(小学館新書)。

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