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米ドルの覇権を支えてきた「オイルダラー体制」が消滅 「脱ドル」「新金融システム」構築へ向けて動き出したBRICS新通貨「The UNIT」の試み

不動産コンサルタント・長嶋修さん

不動産コンサルタント・長嶋修さん

金利という無限膨張システム

 ポイントの2つ目は「この仕組みには、金利がついて回る」ということです。

 誰かが借金した場合、そこには必ず金利がついて回ります。ということは、常に経済が成長していないと、どこかで破綻します。そりゃそうですよね。借金で生み出された金に利息を付け続ける必要があるわけですから。

 つまり現行金融システムはその構造上「永遠に膨張し続けることが宿命づけられている」と言っていいでしょう。つまり世界の借金・資産の双方の、プラスマイナスのベクトルが無限に膨張する前提となっているわけです。

 これは根本的なシステムの欠陥だと私は考えています。なぜなら「宇宙の仕組みに反するから」です。宇宙の仕組みなどと言うと何を荒唐無稽なことを言っているのだと思われるかもしれませんが、筆者はこの世に存在するものは全て、宇宙の仕組み、摂理の中にあると考えています。ありとあらゆる生きとし生けるものの命に始まりと終わりがあるように、この世界は循環構造・円環構造になっています。スタジオジブリの映画『千と千尋の神隠し』のキャラクター「カオナシ」がどんどん大きくなっていった後、最後に破綻する姿は、現行金融システムの行く末を暗示しているようです。

 慣れ親しんだ、あるのがあたり前だと思っていた現行金融システムも、宇宙の法則上、未来永劫に持続可能ではないわけで、いつしか新システムへの改変時期がやってきます。その移行が、旧システムから新システムへと徐々に、段階的にスイッチしていくのか。それともある日、旧システムが突然シャットダウンし、一気に新システムに切り替わるのか。「マイルドシナリオ」「ドラスティックシナリオ」の双方が考えられますが、そこがどうなるかはまだわかりません。

 すでに米ドルを支えてきた「オイルダラー体制」は終了しています。1974年6月8日にアメリカとサウジアラビアの間で締結された軍事・経済協定は、2024年6月8日までの50年間効力を持つものでした。その中身はカンタンに言えば「石油をドル建てで販売する」というものです。

 この協定は50年の時を経て、更新されずに終了しました。サウジアラビアは今後、石油を米ドルのみで販売するのではなく、中国人民元、ユーロ、円を含む複数の通貨で販売することになります。ひとつの時代の終わりです。ドルを支える「はしご」の完全消失です。

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