1990年型のバブルとは要は、日本の株や不動産など資産市場だけが独り勝ち状態の独歩高、といった状況です。当時は基軸通貨ドルを支えるために1985年のプラザ合意によって円高ドル安が決定づけられ、1ドル220円程度だったところ一気に120円まで円高が進みました。
今回円高になるきっかけや理由は何でもいいと思います。
例えば米国でのFRB(米連邦準備制度理事会)の金利下げと同時に、日本での日銀の金利上げが実現するか強く意識された場合、日米の金利差縮小で相対的な米ドルの魅力低下により、円キャリートレードの巻き戻し、あるいはそれを超える円転換が起こるケースです。
転換された円のうち一定量が、株や不動産など資産市場に流れ込むと、それまで専門家が予想してきた範疇を超えた、まさに「想定外」の株高・資産高といった事態が発生する可能性があります。
現時点でこのような話を聞いても荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、1985年の時点であのようなバブル発生を想定できた専門家は皆無と言ってよく、それどころか、不景気を懸念したからこそ異例の大規模金融緩和が行われたのでした。だからこそあのようなバブルが発生したわけです。このあたりの経緯については前著『バブル再び~日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)に詳細を記していますので、ご確認ください。
そしてこのような事態になると、上昇するのは株や不動産のみならず、絵画や高級車、高級ワイン、高額腕時計なども飛ぶように売れ、その時点での理屈を超えた価格で取引されそうです。具体的に見てみましょう。