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「家族」「戸籍」「学生時代の友人」「職場の同僚」…既存のコミュニティの枠組み取り払われるなかで他者と「よりよい人間関係」を結ぶために重要なこと

「よりよい人間関係」を結ぶにはどうしたらよいか(イメージ)

「よりよい人間関係」を結ぶにはどうしたらよいか(イメージ)

 これからの不透明で不確実な社会に、私たちはどう対応し、生きていけばよいのか。不動産コンサルタント・長嶋修氏の新刊『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)から、古いコミュニティが崩壊するなかで生まれつつある「新しいスタイルのコミュニティ」について解説する。

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 今後重要視されるのが「無形資産への投資」です。米ハーバード大学の75年間にわたる追跡調査によると、人間の幸福や健康は、年収、学歴、職業と直接的には関係なく、関係があったのは「よい人間関係」だったそうです。これは指摘されるまでもなく多くの人が実感していることでしょう。

 あなたの周囲には、金銭的・社会的には成功しているのに全く幸せそうでない人もいれば、お金とは無縁でもとても楽しそうな、幸せそうな人もいるのではないでしょうか。そこでカギになるのが「人間関係」というわけです。

 人間関係というとこれまで考えられるのは「家族」「親戚」「学校時代の友人」「職場の上司・同僚・後輩」などですが、これから起きる社会の大変革では、こうした既存のコミュニティにも変化がありそうです。

従来型の「家族のあり方」は見直される可能性が高い

 まずは「家族」のあり方。これは実は日本の「戸籍」の歴史とも深くかかわり、その歴史は長いのですが、近年で言うと1898(明治31)年に明治民法が施行され「家制度」が確立した影響が今も残っています。その趣旨はかんたんに言うと「人は全ていずれかの“家”に属し、家の統率者である戸主に従う」というもの。

 家制度は当時の結婚の形を象徴するものでした。現代においても「○○家に入る」「家業を継ぐ」など「家」の意識は残っています。家制度の主な特徴は次の通りです。

「家族は戸主の命令・監督に服従する」
「家の財産と戸主の地位は、原則として戸主の長男が継ぐ」
「家族は戸主の同意がなければ結婚できない」

 戦前までの結婚は「妻が夫の家に入って子供を産み、夫の家を存続させること」が主な目的でした。そして何と明治民法で妻は「無能力者」と規定され、夫の許可がなければ働けず、土地の売買や借金などの契約を結べなかったのです。

 1947年(昭和22年)に「家制度」は廃止され「夫婦には同等の権利・義務がある」と定められました。妻の「無能力者」の規定も廃止されました。

 こうして戸籍は「家単位」から現在の「夫婦と子供単位」に変わりましたが、現代においてもいまだ明治以降の風潮は残っています。しかしこの制度も近年では「選択的夫婦別姓」「同性婚」など、旧来の枠を超えたテーマが勃興するとともに「一人で生きることを選んだ人へのサポート」、ひいては「主人」「嫁」といった代名詞のあり方に至るまで、幅広い議論がなされています。

「大きいものから小さいものへ」
「重いものから軽いものへ」
「マクロからミクロへ」

 といったトレンドを前提にすれば、従来型の「家族のあり方」はもちろん「親戚縁者」との関係性も名実共に見直される可能性が高いでしょう。

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