「10円で買えるお菓子」の代表格として知られた「うまい棒」(やおきん)が12円(税抜き)に値上がりしたのは、2022年4月のこと。そして今年10月1日出荷分から、15円(同前)に値上がりすることが発表された。うまい棒が値上げするたびに、ネットでは大きな話題になるが、私たちはうまい棒の値上げをどう受け止めるべきか。また駄菓子屋は「15円うまい棒」にどう対応していくのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏がリポートする。
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うまい棒の値上げについてネット上では、「これまで安かったのだから仕方がない」と販売元のやおきんへの理解を示す意見が多かったように感じられます。経済評論家の森永卓郎氏は出演したラジオ番組で「努力が足りない」と表現し、駄菓子屋で消費税のことも考慮し、「14円にすべきだった」と述べています。
このように日本の物価の指標としても取り沙汰される「うまい棒」ですが、私は今回の値上げは仕方ないかな、と思っています。何しろ「ステルス値上げ」という言葉があるように、いろんなお菓子が量を減らして価格を維持してきた側面もあります。長きにわたるデフレに慣れた日本人ですが、昨今は円安や原材料価格の高騰もあり、「こんな時代だからね」といった正常な感覚になりつつあるのではないでしょうか。
お菓子の値上げで思い出すのは2016年のこと。赤城乳業が「ガリガリ君」を60円から70円に値上げ(いずれも税抜き)した際は、社長や社員が登場し、値上げすることに対して頭を下げる企業広告を作ったほど。まだ当時は日本にデフレの空気が蔓延していて、なかなか値上げを許容できない空気感があったのかもしれません。ちなみにガリガリ君は2023年にも値上げして、今は80円(同前)になっています。
さて、森永氏も指摘した駄菓子屋での販売についてですが、駄菓子屋はいかにして値上げに対処しているのか? コンビニなどでは値上げした価格に普通に消費税をのせて販売していますが、駄菓子屋では販売価格の単位は主に「10円」です。1円玉や5円玉は流通しないことが多いです。「五円チョコ」の愛称で知られる「ごえんがあるよ」は5円で売っていましたが、今は単品売りはしていません。