マジックが出た時点で優勝グッズの企画を進める
阪神の本拠地・甲子園球場前には「ALPS」「DUGOUT」という数百点のタイガースグッズが並ぶ公式ショップがあるが、昨年9月28日に優勝記念グッズが売り出された初日には開店30分前に300人が列を作るほどだった。セールは優勝しなくても打てるが、さすがに優勝記念グッズは優勝しないと売ることはできない。グッズ製造業者のひとりが言う。
「大変だったのは2008年のV逸の時でした。2位の巨人に最大13ゲーム差をつけ、117試合を消化した時点(同年9月6日)で貯金が24あった。阪神にマジック22が出た時点で2位とのゲーム差は4.5。ところが、巨人が9月に入って12連勝で猛追し、141試合目に2位に転落した阪神はそのままV逸となった。
マジックが出た段階で、球団は数十点を超える優勝グッズの企画を進める。特にキャップのような刺繍製作に時間がかかるグッズは早い段階で見切り発車しなければならない。逆転されてV逸となると商品がすべてゴミの山となる。年が明けると“幻の優勝グッズ”としてネットに出回ったりしたが、グッズに関係した大半の業者が損害を被った」
今シーズンに関しては「デザインや企画は進んでいるが、具体的に製造まで進めた業者はいないのではないか」(同前)とされるが、クライマックスシリーズから日本一への道が残されているため準備は怠れないという。大きな経済効果を生むだけに、結果が出なかった時の影響も少なくない。この後も関係者が阪神の結果に一喜一憂することになりそうだ。