住まい・不動産

「最初は夫も幸せそうでしたが…」研究職を辞めた夫と地方移住した妻が語るリアルな実情 2年弱で移住を諦めて都心生活に戻るも「必要な体験でした」

 両者の間には次第に溝ができ、ついにTさんから笑顔が消えた。

「2度の引っ越しで、私は日々の生活を整えるだけで精一杯。アートフラワーの教室を開くなんて夢のまた夢。泣きたいのは私でしたが、歯を食いしばり、男性と夫の間に入って、何度も話し合いの場を設けました」

 しかし、農業においては男性がベテラン。何度話し合っても平行線だった。

「男性は夫のことを、安く使える雑用係ぐらいにしか思っていないことがわかりました。もう悔しくて」

 Mさんは泣きながら、「あなたのみじめな姿を見るために山梨に来たんじゃない、もう帰りたい!」と感情をぶつけた。離婚を覚悟で家出をし、息子の家に逃げ込んだ。

「このときばかりは夫が折れ、“あの男性とは縁を切ったよ”と連絡が。息子を東京においていくのは心残りでしたが、このときほど息子が心強かったことはありません。私にとって“逃げ場”になってくれたので」

 ちょうどその頃、Tさんのもとには以前の職場から、「戻ってこないか」との連絡が来ていた。

「いま振り返ると、夫は移住がしたかったのではなく、仕事を辞めたかったんです。言い訳が欲しかっただけ。だから移住後の明確なビジョンがなかった。これがよくありませんでしたね。

 とはいえ、それほど辞めたかったのであれば、私も復職をすすめたくはありませんでした。でも、先方が前よりもストレスの少ない、別の職場を紹介してくれ、夫も納得したようでした」

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