参加予定のイベントに主催者側のミスで参加できなかった場合、その参加費の返還を求めるのは当然のことと言えるのか。さらに、イベントに参加できなかったことに対する“慰謝料”を請求することはできるのか──。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
「3月23日(日)開催」と記載された料理教室のチラシを見て予約し、参加費を振り込みました。ところが、当日会場に行くと開催されておらず、前日に終了していたとのこと。
本当は、23日は土曜日で、チラシの曜日が間違って記載されていたのが原因だったので抗議しました。参加費は返金されたものの、ほかの約束を断って参加を決めたので納得できません。振込手数料や交通費、精神的な苦痛に対しての損害賠償を請求することはできますか。(東京都・42才女性・会社員)
【回答】
あなたは3月23日の日曜日の料理教室に参加の意思で主催者に申し込み、主催者は3月23日の土曜日の教室へのあなたの参加を認めて参加費を受け取りました。あなたと主催者の法的関係では、まず教室参加契約が成立したかが問題です。
料理教室の日について、あなたは日曜日のつもりであり、主催者は土曜日のつもりでしたから、双方の真意に食い違いがあります。
教室の日が「3月23日(日)」というあり得ない日として記載されたチラシに基づく参加申し込みですから、23日(土)なのか24日(日)なのか、どちらともいえると考えれば、そもそも双方の意思の合致はないといえるので、その場合は契約が成立しなかったことになります。
しかし仮に、客観的にどちらかの日といえる事情があれば、その日の料理教室に参加する契約が成立し、あなたが誤解していたことになります。日付と曜日を比べると、7つしかなく1週間単位で繰り返す曜日よりも、通常は日付を重視するように思います。あなた以外の参加者は23日の教室に参加していたことからもそういえそうです。