もっとも、3月23日(土)の教室参加の契約が成立しているとしても、あなたは3月23日(土)の料理教室に参加の意思がなかった点に錯誤があり、教室の開催日は参加契約をするにあたって重要な事項ですから、契約を取り消せます。契約不成立にせよ契約取消にせよ、契約はなかったことになるので、参加費の返還を受けるのは当然です。
また、正確な開催日を広告することは主催者の義務であり、誤記載に気づけば、参加費を振り込んで、参加を申し込んだ人に訂正連絡をして、無駄足を踏ませないようにする注意義務もあります。
こうした注意義務を怠れば、間違って3月24日(日)に教室を訪ねてくる人がいることは予想できます。そうであれば、交通費などの損害が出ることは予見できるので賠償請求できます。しかし、精神的苦痛の評価は難しく、同種案件の相場もなく、慰謝料については何とも言えません。認められてもごく少額でしょう。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2024年10月17日号