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「朝マック」「瞬足」「GoPro」「チョコザップ」…ヒット商品には理由がある 時間、シーン、ブランドを分けることで生まれる新たなビジネスチャンス

【2】「シーン」で分ける

 次に「シーン」ごとに分け「買いやすい」を作った事例を見てみたい。

 アサヒ飲料の『ワンダ モーニングショット』は「朝専用」コーヒーと銘打ってヒットした。コーヒーを飲む時間を朝・昼・夜と分けて考えたところ、缶コーヒーのイメージとして「朝、会社員が出社して飲む」というシーンにドンピシャだ。

 キリンビバレッジの『午後の紅茶』も同様に、シーンを強調している。ただこちらは午後のゆったりした時間の流れを想起させる。結果、午後以外でも飲みたくなる。

 アキレスの『瞬足』という子供向けのスニーカーも、「コーナーを走りやすい」というシーンにしぼってヒットした。靴底の滑り止めのゴムの形状が左右非対称で、コーナーを走るときに滑りにくくしたデザインだ。小学校の運動場(たいてい左回り)を走るとき、コーナーを上手に曲がることによっていいタイムが出たり、リレーで負けないようなイメージを持ったりすることができる。機能的な差別化はもちろん、子供の速く走りたいという気持ちをうまく捉えてヒットしたわけだ。

 GoProのアクションカメラは、数多くあるビデオカメラの中で、アウトドアやスポーツ、サイクリング、ツーリングなどのシーンにターゲットをしぼり込み、防水で頑丈、手振れ補正機能が強く迫力のある映像を「撮りやすい」というセールスポイントを訴求してヒットしている。

「時間」や「シーン」の分け方を見直すことで、新しいビジネスの可能性は広がる。お客さんにとって「選びやすい」「入りやすい」「試しやすい」といった目的を達成するための分け方をぜひ考えてみてほしい。

ニーズをつないだシェアリングエコノミー

 Uber Eats、Airbnb、ラクスル、ココナラ、タイミー、メルカリ、Makuake……。企業がネットワーク上に「売り手」と「買い手」をつなぐマッチングプラットフォームを作り、利用者がもの、場所、スキルをシェア(売買、貸し借り)することで生まれる新しいビジネスモデルのことを「シェアリングエコノミー」と言う。

 売り手は所有する有形・無形の資産を分けて売ることができるし、買い手はタイムリーに低価格でそれを利用することができる。スマホを誰もが持つようになり、個人間や企業間で使用頻度の低い商品、サービス、スキル、時間、場所を分けて売ることができるようになった。具体的に見てみると、「つなぐ」がポイントであることがわかる。

Uber Eats:料理を提供する店と、配達してほしい個人をつなぐ
Airbnb:空き部屋を使ってほしい人と、低価格で旅行したい個人をつなぐ
ラクスル:機械の稼働率を上げたい印刷所と、低価格・小ロットで発注したい企業をつなぐ
ココナラ:スキルを持った専門家と、低価格で早くサービスを受けたい人をつなぐ
タイミー:スキマ時間で稼ぎたい個人と、忙しい時間帯のサポートがほしい店舗をつなぐ
メルカリ:使っていない商品を処分したい個人と、低価格で購入したい個人をつなぐ
Makuake:開発資金を必要とする開発者と、少額投資して応援したい個人をつなぐ

 メリットとしては、新たな消費が喚起されるし、プラットフォームを用意する企業以外は初期費用がかからない。プラットフォームを提供する企業も継続的な利用者を獲得することで、安定的なマッチングの手数料を得ることができる。

 デメリットとしては、個人取り引きが多いため品質やセキュリティに関する信頼を担保するのが難しいこと。プラットフォームを提供する企業にすべてを依存することになり、パワーが一極集中する懸念があることなどだろう。

 あまり使われていないものやスキマ時間は無いか。小分けで提供することで、低価格化や利便性を喜んで買ってくれる人はいないか。

 そういった視点で考えてみると、新しい「買いやすい」「売りやすい」を見つけられるかもしれない。

次のページ:ブランドを分けると「買いやすい」
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