仕事に関連するセミナーに参加することもあるだろう。会場に到着し、たくさん並べられた椅子のどこに座るか、多くの人は無意識のうちに選んでいるのではないか。じつは、どこに座れたか、会場がどれぐらい埋まったかが、来場者の満足度に直結する場合があるという。そして、それは椅子の並び方で変えられるというが、どういうことか。著書『「しやすい」の作り方』(サンマーク出版)が話題の、コクヨのワークライフスタイルコンサルタント・下地寛也氏が解説する。
来場者が「座りやすい」イスの並べ方
私は、仕事がらセミナーを開催することがよくある。そんなときに悩むのが、会場の「イスの並べ方」だ。来た人がバランスよく座ってくれればいいのだが、後ろや端の席に人が集中して前がガラガラになることがよくある。皆さんも職場や学校で人を集めるときに苦労することもあるだろう。
特に、会場にテーブルを置かず、イスだけ並べる場合は、置き方の自由度が高い分だけ悩んでしまう。イスを配置する上で、考えるべきことは主に次の3つだろう。
【1】お客さんが快適に過ごせること
【2】募集数に対して実際はどれくらい来るか見込みを立てること
【3】前のほうの席から詰めて座ってもらうこと
これらをイメージしながらイスを並べ始める。とは言え、来場者数については蓋を開けるまでわからない。100人程度の募集の場合、イスを5席ほど並べて通路をあけ、また5席ほど並べて通路をあける、といったレイアウトをよく見かける。
ところが、この分け方をしてしまうと様々な問題が起こる。まず、早めに来た人は「端」から座ろうとする。そのほうがセミナー中、「快適に過ごしやすい」からだ。ところがこうなると、あとから来た人は、「すみません、通してもらえますか」などとお願いしながら中の席へ行かなければならず、「入りにくい」ことになる。これでは先にいた人も、あとから来た人も、決して快適な入場とは言えない。