リタイア後の収入や生き甲斐を求めてセカンドキャリアに就く人が増えるなか、武器となるのが「資格」だ。無理せず取得でき、稼ぎを得られる資格とは──。【前後編の前編】
九州地方に住むTさん(66)は、勤務していた製造業の工場を定年退職後、高校の教師をしていた妻に勧められ、登録日本語教員の資格を取得した。
「前職では品質検査や出荷部門で長く働いていたので、人に何かを教える機会はなかった。そんな自分でも教える仕事に就けるんだ、と興味を持って資格スクールの日本語教員コースを受講することにしました」
スクールで約1年間、1日2~3時間の勉強を続けたTさんは、日本語教育能力検定試験に合格し、61歳の時から外国人留学生たちに日本語を教えている。
「中国やベトナムなどのアジア圏の留学生が多いですが、日本語を学びたい生徒さんなので英語は使いません。生徒さんが日本語を喋れるようになって目を輝かせているのを見ると、『一生懸命教えて良かった』と報われた気持ちになります。同世代の教員仲間と、仕事の悩みや授業の方法を相談して助け合えるのも嬉しいですね」
Tさんのような日本語教員は現在、引く手数多になっている。キャリアコンサルタントの金澤美冬氏が語る。
「人手不足の業種に一定の専門性や技能を持つ外国人材を受け入れる在留資格『特定技能』の受け入れを拡大する政府方針がある一方、日本語教員は足りていません。そこで今年4月、日本語教員は民間資格から国家資格に格上げされて働き口や一定の収入が見込めるようになりました。中高年のセカンドキャリアとして注目を集めています」