さらにひどい状況を招きかねないのが「二世帯住宅」だ。
「親が子供に老後の世話をしてもらうことも視野に入れて二世帯住宅を建てたのち、親子の関係がこじれたら最悪です。“同居”しているから売ることもできず、介護が必要になって施設に入ろうにもお金がない。
何より、関係が冷え切ったまま同居を続けるのは大きなストレスになります」(澤田さん・以下同)
仲がいいと思っていた弟からのひどい仕打ち
よかれと思ってやった「生前贈与」が想定外の禍根を生むこともある。
「年間の贈与額が110万円以下ならば贈与税がかからないというしくみを用いた『暦年贈与』は相続税対策の基本であり、孫や子供のためを思って多くの人が実践していますが、平等さを欠くと途端にトラブルになります。
例えば、2人兄弟の長男の孫に教育費として暦年贈与を頻繁に行った結果、独身で子供がいない次男が『兄の家ばかりずるい』と逆恨みして家族仲がこじれた事例がある。少なくともこうしたお金のやり取りは最初からオープンにして、関係者全員の理解を得ることが大事です」
自分のため、残された大切な人のため──よかれと思って進めてきた「最期の準備」で立つ鳥跡を濁すことがないよう、ゆっくり、しかし着実な方法で「その日」に向けて歩き出そう。
※女性セブン2024年10月24・31日号