「くぁーっ! うめえ!」生ビールと絶品煮込み
いよっ! 待ってました、大統領!
心の中でそう叫びながら店の前まで行くと、おお! 満席である。どう見たって座れない。それくらい、すでにして詰め詰めでみなさん座っていらっしゃる。はい、ちょっとごめんよ、と割り込む隙がないのだ。店の兄さんは、「待ち、待ち」と言うだけ。私はカウンターの中のお姐さんにVサインを送って、2名であることを伝える。
待つこと、しばし。幸運なことに、ほんの5分も立って待っていたら、コの字のカウンターの奥のほうに通された。店内に入ってみると、路地に面した間口は全開なのに、奥のほう、エアコンが効いていて暑くない。すでにして、天国気分。さっそく頼むは生ビールだ。
この店に来るのは何度目だろう。来るときはいつも昼酒だった。いつぞやは、同行の人に東京西部の私の出身高校の話をさんざんしていたら、会話の途切れたすきに、背後のテーブルで飲んでいた3人連れが、母校の隣街の高校の出身者であると声をかけてきた。それをきっかけに、上野のガード下のこの店で、同じ東京でもかつては東京都下と呼ばれた多摩地域の思い出話でひとしきり盛り上がったりしたものだった。