大竹聡の「昼酒御免!」

【昼酒御免!】優しげな風格すら漂う絶品煮込み 「上野高架下」のもつ焼き屋、真っ昼間の活況

梅干し入り酎ハイも地酒も早々に飲み干した

 店内は、実に穏やかな雰囲気だ。初めて来た人は、この界隈の昼酒の賑わいに圧倒されるかもしれないが、みなさんゆっくりと、昼酒を楽しんでいる。酔って暴れるために来ている人なんていない。カウンターの中を切り盛りするお姐さんも店員さんたちも、気持ちよく注文を受け、すばやく処理し、にこやかに客に対応してくれる。

「みんな、楽しく飲んでよ」

 そんなふうに声を掛けられているような気にもなる。ビールから焼酎に変える。ホッピーのセットかレモンサワーか、そんな心づもりだったけれど、隣のお客さんのタンブラーを見て考えが変わった。焼酎の水割りに梅干しを落としているのだ。

 ああ、梅干しね。オレもそれにしようと頼んだのは、酎ハイの梅干し入れ。焼酎のお湯割りに梅干しを沈めて割りばしで崩しながら飲むのは、ごく若い頃から慣れ親しんできた飲み方だけど、今回そのソーダ割りバージョンを試してみたわけだ。

梅干しと酎ハイも文句なしに相性抜群

梅干しと酎ハイも文句なしに相性抜群

 これは、うまいと自分に向かって言いながら、さっさと飲んで中身をお代わり。

 いよいよ楽しくなってきて、1杯500円の常温の地酒をもらうと、これまた頬の緩むうま酒だ。それも2杯もらって、早くも都合5杯の酒が空になる。上野の昼酒は、うますぎて御免、という感じである。

多くの人が昼呑みを楽しむ上野「大統領」(東京都台東区上野6-10-14)

多くの人が昼呑みを楽しむ上野「大統領」(東京都台東区上野6-10-14)

シリーズつづく第1回から読む

【プロフィール】
大竹聡(おおたけ・さとし)/1963年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒。出版社、広告会社、編集プロダクション勤務などを経てフリーライターに。酒好きに絶大な人気を誇った伝説のミニコミ誌「酒とつまみ」創刊編集長。『中央線で行く 東京横断ホッピーマラソン』『下町酒場ぶらりぶらり』『愛と追憶のレモンサワー』『五〇年酒場へ行こう』など著書多数。「週刊ポスト」の人気連載「酒でも呑むか」をまとめた『ずぶ六の四季』が好評発売中。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。