●【理由3】正常な判断ができない
60代~70代では可能として、80歳になっても正しい取り崩しの判断ができるでしょうか? 私は、高齢になって判断力が鈍り投資家を引退した父を見ましたので、かなり難しいと思います。
●【理由4】「自動取り崩しサービス」の不安
証券会社によっては、投資信託の出口戦略として「自動取り崩しサービス」を提供しています。いったん設定すれば、生涯、自動で取り崩せます。これが一見「仕組み化」のように思えなくもないです。
とはいえ、これも取り崩すというタスクを自動に委ねているだけで、取り崩すこと自体には変わりがありません。理由1、理由2の不安はやがて出てくるでしょう。
さらには、「自動取り崩しサービス」で、たとえば65歳で設定した取り崩しの「率」なり「額」なりが、生涯そのままでいいとは限りません。老いて判断ができなくなった自分が、そこに気が付けるでしょうか?
そして、気が付いたとして、新しい設定をどの「率」やどの「額」にするのが正しいのか、さらには、白内障や老眼で視力が落ち、かつ手指も自由に動かないなかで、正確にスマホやPCを操作して再設定できるでしょうか? 私は父を見ているので、そうは思えないのです。
「今のあなた(私も)」には当たり前にできることも、「老いたあなた(私も)」には当たり前ではないのです。
繰り返しになりますが、私は、父が老いて投資判断が衰え、投資家を引退した姿を目の当たりにしていますし、介護してきましたので、これが誰よりもわかります。