藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

【東京メトロ上場で注目】押さえておきたい「IPO株投資」のポイント 昨年のIPO銘柄の初値は公開価格を7割が上回った実績、抽選申込の手順をわかりやすく解説

申込時に確認すること

 IPO株を申し込む際に確認する情報は、以下の5つです。具体例をもとに見て行きましょう。

 新規上場株の情報(SBI証券のホームページより)

新規上場株の情報(SBI証券のホームページより)

【1】ブックビル期間
 申し込み受付期間のことなので、この間に申し込みをおこないます。

【2】仮条件
 申し込み可能な価格帯。この範囲内で購入希望する価格を入力します。おおむね高値で決まることが多いため、申込時には、成り行きや、ストライクプライス(投資家が申告する希望価格の指定方法のひとつでどの価格帯になっても購入意思があると示すこと)を選択するのがおすすめ。

【3】抽選日
 証券会社によっては、抽選の結果をメールなどでお知らせしてくれます。当選したことに気づかず、購入の意思表示をしない場合は辞退とみなされ、せっかくのチャンスを逃すことになりますので、忘れないようにしましょう。

【4】上場日
 初値がどれくらいでつくか、気になるところです。

【5】目論見書
 上場する企業の細かい情報が掲載されています。事業内容、財務内容などしっかりチェックしましょう。

上場後の株価動向には注意

 IPOの抽選は人気が高いため、なかなか当たりません。人気の理由は、高確率で、公募価格(抽選で当選した場合に購入できる株価)より、初値(上場して最初につく株価)のほうが高くなるからです。ちなみに2023年に上場した96社のうち、初値が公募価格を上回ったのは67社、全体の約70%にあたります。となれば、とりあえず申し込んでおこうという投資家が多くなるのは当然です。

 一方で、初値が高くついた銘柄は、その後の株価が低迷しやすい傾向もあります。とりあえず当たればラッキーと思っている投資家は、公募価格で買って、上場直後に売却します。そのため株価は下落しやすく、そのまま半年、1年とずるずる下げ続ける銘柄も少なくありません。

 本来なら、愛情をもって長期保有したいところですが、当選した場合、上場直後にいったん利益確定で売却し、その後、株価の動向をみて改めて買い直すというのも一手です。

 割合としては少ないですが、公募価格割れする銘柄もあります。その場合は、当選したことがアンラッキーになってしまいますので、そもそも抽選に申し込まないことです。

 公募割れするIPO株は、業績の見通しが悪かったり、そもそも公募価格が高すぎたりと、通常の株ならこの株価では買わないだろうといったものです。また公募株式数の割り当てが多い場合も、株価上昇につながりにくくなります。

 IPOだからといって、なんでもかんでも申し込むのは禁物。しっかり目論見書を確認し、IPOじゃなくても魅力的かどうかチェックしましょう。

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