また、石破首相は「デフレ脱却最優先」「その第一歩として物価高対策を行なう」と言っている。だが、10月の食品値上げが2911品目に達するなど、もはや日本はデフレではなくインフレだ。そもそもデフレなのに物価高対策というのは、完全に矛盾している。
かてて加えて、大規模な金融緩和を柱とするアベノミクスに否定的だったかと思えば、日本銀行の植田和男総裁と会談して追加利上げに慎重な姿勢を示した。
しかし、景気を良くするためには金利を上げて2200兆円の個人金融資産をさらに増やし、それが市場に出てくるようにしなければならない。その理屈がわかっていない石破首相は、岸田前首相以上の経済オンチと言わざるを得ない。
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『日本の論点2024~2025』(プレジデント社)など著書多数。
※週刊ポスト2024年11月8・15日号