自民党総裁選で勝利し、第102代首相に就任した石破茂氏。その素顔はいかなるものなのか。『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんが、かつて議員事務所でアルバイトをしていた頃に交流した時に見た、石破氏の素顔について綴る。
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「同級生です」
「お若いっ!」
これが、私が石破茂さん(67才)と最初に交わした言葉だ。8年前、石破さんの派閥「水月会」(当時)の政治資金パーティーのときだから、お互い59才だったのよね。
当時の私はライター業のかたわら、倉庫作業や清掃業に汗を流す派遣バイトもしていたんだけど、ひょんなことから「議員秘書見習い」という“3足目のわらじ”を履くことになったの。秘書見習いの最初の半年は、倉庫作業で怒られた翌日、安倍晋三首相(当時)と永田町ですれ違うというような痺れる毎日だったんだよね。
「国会議員」にもいろんなタイプの人がいて、保守系の議員はだいたい、バン!と胸を張って、外股の大股で足早に誰かと連れ立って歩く。片や、野党議員はたいがいひとりで下を見て歩いている、というのが私の印象なの。
永田町にも慣れてきた2年目の暮れ、東京・赤坂の中華料理店で、水月会の忘年会があったんだけど、奥に議員たちの席があって、手前が秘書の席だったの。石破会長はじめ何人かの議員の挨拶が終わって宴もたけなわになったとき、幹事が奥の議員たちに向かって、「秘書席に行って話してください」と促したんだわ。その前から「どもども、いつもお世話になっています。はい、どぞどぞ」などとビール瓶を手に気さくに声をかける議員がいる一方で、石破会長はなぜか奥の方にいたまま、なかなか立ち上がらない。やっとこちらの席に移動してきたと思ったら、なんと私の正面に座ったの。
その間のギクシャクした感じを見て、私は石破さんがどういう人かわかっちゃった。石破さんはスイッチが入ればお世辞のひとつも言うけれど、本来の姿は、鉄道オタクでキャンディーズのファンで軍事マニア。そのときは“引っ込み思案”そのものだったの。そこで私から自己紹介をした。