投資情報会社・フィスコが、株式市場の10月21日~10月25日の動きを振り返りつつ、10月28日~11月1日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で1067.83円安 (-2.74%)の37913.92円と下落。10月27日に投開票を迎える衆議院選挙で、自民党、公明党の政権与党が苦戦しており過半数を割り込む可能性がメディア各社から報じられたことで、経済政策や金融政策など先行き不透明感が台頭。23日に上場した東京地下鉄<9023>や、決算発表銘柄への関心は強まったが物色は広がらず。日経平均がじりじりと下落するなか、積極的な買いは手控えられ、終値ベースでは10月2日以来となる38000円台割れとなった。プライム市場の売買代金は連日3兆円台と商いは低迷。為替が1ドル153円台と週間で4円ほど円安ドル高が進行したものの、輸出関連銘柄への影響は限定的となった。
なお、10月第3週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を457億円売り越したほか、TOPIX先物を2376億円売り越し、225先物は462億円売り越したことから、合計3295億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を630億円買い越すなど合計で1025億円買い越し。なお、自己は現物を1504億円売り越した。
日経平均は10月23日まで11日連続で陰線を残すなど上値の重さが目立った。為替の円安推移が強まったが、トヨタ自<7203>、ホンダ<7267>など自動車株がやや買われたぐらいで今年1-3月のような「円安・株高」の展開とはならなかった。選挙後の石破政権への不透明感が強まっていることから、外国人投資家が様子見姿勢を強めていることが要因と考えられる。27日の投開票の結果、政権与党が過半数割れとなれば、もう一段の株安、リスク回避の円買いが強まる可能性はある。
一方、予想外に票を集め過半数が維持できた際は、買戻し先行で日本株は上昇するだろう。11月5日に米大統領選挙と東京市場の取引時間の30分延長というイベントを控えていることから、一気に日経平均40000円台回復とはいかないまでも、溜まっていた不透明感や警戒感が払しょくされた時のインパクトは大きいことから39000円水準は意識されそうだ。
30日から31日にかけて、日本銀行による金融政策決定会合が開催される。先だって開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議にて、植田和男日銀総裁は、「日銀はかなり緩和的なスタンスを維持しており、インフレ期待を新たなレベルに引き上げたい」「トータルで適切な正常化規模を重視」などと発言。今会合での政策金利の引き上げ観測はほぼ無いが、同時に発表される「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」や、会合後の植田総裁の記者会見などで、追加利上げに前向きな姿勢が確認されるかが注目されよう。7月から8月にかけての金融市場の乱高下によって、日銀は「ハト派」色を強めた経緯がある。9月会合で、植田総裁は、市場とのコミュニケーションを綿密に行う一方、利上げ判断には「時間的な余裕がある」との姿勢を強調した。