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Netflixはテレビを殺すか

ノンスタ井上が語るバラエティ番組のコンプラ論「『ブス』と呼ばれるのも僕の仕事」「ルールの中で戦い方を見つけた人間が勝つ」

0から1を作れるのが地上波

 制約は増えているが、過剰な表現による被害者を出さないためにも、世の中の流れを受け入れる必要があると井上は語る。

「コンプライアンスは世の中をよくするための作業だけど、お笑いはちょっとはみ出た奴が面白い。例えば、食べ物は粗末にしたらアカンけど、昔は粗末にすることがちょっと面白くて笑うことができた。でも今はそれが許容範囲ではなくなり、笑えなくなっている時代です。世知辛い世の中やけど、実際にテレビで過激な罰ゲームを見て学校でマネをして被害者が出ることもあるので、コンプラは必要でしょう。これは全員が平等に受け入れないといけないルールやから、そのルールの中での戦い方を見つけた人がバラエティで勝ち残るのかなと思いますね」

 ネットでは自分が知りたい情報しか入ってこないが、テレビは良くも悪くも、自分が知りたくない情報も入ってくる。「既知」ではなく「未知」と出会えることが地上波の最大の魅力ではないか――そう語る井上は今後、テレビとネットのどちらに重心を置くのだろうか。

「知りたくなかった情報のなかに自分がハマってしまうような情報が偶然含まれることがある。そこが流し見できるテレビの良さやと思っています。
 僕自身、子供の頃に何となく地上波のチャンネルを変えたら面白い人の番組に出会えて、それまで知らなかったことを知ることができて人生が変わりました。だからテレビは0を1にするイメージ。でも配信は自分から知りに行く情報で、すでに知っていたことを見に行くと、『あなたにはこれがお勧めです』と関連動画が山ほど出てきて、1だったものが100になる感じです。

 0から1も1から100もどちらも素晴らしいけど、僕は0から1を皆さんに届けたいから、地上波をメインに頑張りたい。かといって配信に出ないのではなくて、ネットにはネットの良さがあります。特に今やっている『今日好き』みたいな恋愛リアリティショーは“恋愛もいいものだよ”という価値観を100にして届けられるよう頑張っているつもりです」

 製作者にも出演者にも視聴者にも選択肢が広がった時代。地上波や配信にかかわらず、求められるのはそれぞれの役割に応じた、良質なコンテンツなのだろう。

■前編〈ノンスタ井上が語る地上波と配信の違い「地上波のセットは壊せなくなった」「ABEMAのギャラは民放と変わらない」〉を読む

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