地方から東京の大学に進学させるのと変わらない費用
マレーシアは教育に力を入れており、海外の名門大学の分校も誘致している。
「1990年代に教育改革があって、オーストラリアの名門、モナッシュ大学を誘致してマレーシア校を開校しました。最近では日本の筑波大学がクアラルンプールにマレーシア校を開校しました」(マレーシア留学サポートセンター・斉藤高志代表取締役)
「QS世界大学ランキング」でモナッシュ大学は37位(京都大学は32位)。オーストラリアのモナッシュ大学に通うと学費が年間500万円ぐらいかかり、生活費も15万円は最低でもかかる。
一方で、マレーシア校ならば、入学時は学生ビザ申請費用などで20万円ほど、学費は文系なら年間約150万円、そして寮の1人部屋が4万5000円ほどで、共有のラウンジやプールもある。物価は安く、屋台でナシゴレン(炒飯)を買っても200円ほどでお腹がいっぱいになる。
このモナッシュ大学は比較的学費が高い方で、前述のテイラーズ大学だと130万円ほど。一方、日本国内の私立大学のオールイングリッシュで授業を行う学部だと年額130万円程度で、寮費は朝食と夕食込みで10万円程度。つまり、地方の家庭が子どもを東京の私大に通わせるのと、マレーシアに留学させるのではさほど変わらない経済的な負担で済む。
「いったんマレーシアの大学に留学してからアメリカやカナダの大学に編入する学生もいます。アメリカの大学は学費が350万円からかかるので2年間をマレーシアで過ごすと、数百万円を節約しつつアメリカの大学を卒業できることになります。そういった留学のハブ拠点としてもマレーシアは人気を集めています」(前出・斉藤氏)
今回はマレーシア留学の費用面について言及した。アメリカやオーストラリアの大学へ進学するのに比べて非常に安く済むことが分かる。ではマレーシアの大学で実際になにを学ぶのか。そして、デメリットはなにかについて次回記事で解説する。
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。【Xアカウント】@sugiyu170